スコセッシ監督によるローリング・ストーンズの映画、Shine a Light | イージー・ゴーイング 山川健一

スコセッシ監督によるローリング・ストーンズの映画、Shine a Light


Shine a Light




 友達が日本公開まで我慢できず、ストーンズの"Shine a Light"のメキシコ盤かなにかのDVDを購入したんで、ぼくも観せてもらった。
 こいつが、最高の出来だった。
 今までのストーンズのライヴ映像でもいちばんいいんじゃないかな。
 この映画は、はマーティン・スコセッシ(『タクシードライバー』、ザ・バンドの『ラストワルツ』『グッドフェローズ』等の監督)が手がけたストーンズのライヴ映画で、既に全米で公開され、日本では12月の公開が決まっている。

 映画の舞台はニューヨークのビーコンシアター。1928年にオープンした元ブロードウェイの劇場だ。2006年秋にここでストーンズのライブが行われ、マーティン・スコセッシはこのライブの模様をコアにしてロックライブの究極のドキュメンタリーフィルムを仕上げた。

 ストーンズのライヴの歴史をアバウトに眺めると、1960年代の熱狂、70年代のラフでワイルドなステージ、それが80年代にシステマティックになり、90年代にこのパッケージショーが完成していく。その完成したライヴは素晴らしいものだったが、あまりにも決めごとが多いのがぼくとしては不満でもあった。

 それがこの"Shine a Light"では、会場が狭いということもあったのだろうが、ラフでワイルドで、しかし適度に力が抜けているという……絶妙なステージングが披露されているのだ。

 ミックとキースがワンマイクでコーラスし、しかもキースのヴォーカルが信じられないほど上達している。コーラス後半でキースがなぜか笑ってしまい、ミックがあきれた視線をキースに投げかけたり。
 ミックがロニーを小突き、ロニーがミックを別の曲で小突き返したり。
 それから、キースがスタンドマイクの前に仁王立ちになり、"You Got The Silver"をギターなしで歌うんだよね。ギターなしで歌うキースなんて、初めて見た。

 
 キース・リチャーズ!
 ロックンロールの神様がぼくらにプレゼントしてくれた天然児だよ。

 ライヴのたびの話題になるゲストだけど、最初に登場するのはホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトで、ミックといっしょに「Loving Cup」を歌う。マディ・ウォーターズの曲「Champagne & Reefer」をジャムるのがバディ・ガイ。この曲は途中でバラけそうになるのを、ミックがなんとか収拾してエンディングへ。こういうところがこのライヴの魅力なんだよね。
 そしてクリスティーナ・アギュレラはミックと共に「Live With Me」のパフォーマンスを披露している。ミックはその前の「悪魔を憐れむ歌」でエネルギー全開だったので、この曲ではアギュレラの腰を抱いたりして実質的に休憩してます。配分、ちゃんと考えてるね。


 12月になったら、映画館で観るつもりです。
 前のほうの席でね。



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