日米FTA第2段階を阻止するために──石破茂首相待望論 | イージー・ゴーイング 山川健一

日米FTA第2段階を阻止するために──石破茂首相待望論

本日(1119日)、日米貿易協定の承認案が衆院を通過 してしまった。


振り返れば925日に日米共同声明に安倍晋三とトランプが署名し、両国は今後2段階に分けて貿易に関する協議を進めていくことが確認された。今日衆院を通過したのはその第1段階で、農産品(特に牛肉、豚肉)とデジタル貿易が対象だ。


憲法61条に、条約の締結に関する国会承認については衆議院の議決が優先すると定められているので、参院での審議が時間切れになろうと、否決されようと、最終的に発効することになる。年内に解散/衆院選があり政権交代しようと、これを覆すことは出来ない。


つまり、もはや打つ手はない。


政府が隠蔽し新聞・テレビが報道しないので事の重大さが分かっていない国民がほとんどである中、屈辱的な不平等条約が締結されたのだ。戦後最大の危機であることに間違いはない。


日本の食の安全が脅かされる。さらに食料安全保障上の問題が深刻だ。アメリカへの依存度が高まれば、今後一層日本はアメリカに従属せざるを得ない状況に追い込まれるからだ。


デジタルの方ではGAFAGoogle, Amazon, Facebook, Apple)が利益を得ることになる。まさに日本は植民地と化す。


デジタルので方はわかりづらいかもしれないが、IT企業ばかりが危ないのではない。例えば今後自動車は人工知能の技術で自動運転化され、搭載するのはエンジンではなくモーターになり、コンピュータの塊になる。交通というシステムそのものが重要になる。


その時、Googleがトヨタの内蔵を喰い尽くすのではないか──と僕は恐れる。


 第2段階はさらなる恐怖が待っている。「関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題」が検討の対象となり、医療分野や公的な保険制度も入ってくる。


「医療費や薬代が高額になり、これ以上国民保険で賄うことは不可能だ」と、ある日政府が宣言して、外資により国民皆保険制度が解体される。


高額な保険に加入していないと、救急車からさえ下ろされることになる。医者が最初にする質問は「どこが悪いのですか?」ではなく「どの保険に加入していますか?」ということになる。


冗談ではなく、盲腸で死人が出る。


何年か前に友人のお嬢さんが、ニューヨークで盲腸になった。旅行の保険に入ってはいたのだが、手術代に200万円かかったと言っていた。アメリカ式の医療とはそういうものである。


僕らが生きながらえるために、今もっとも必要なことは、日米FTA第2段階を阻止することだ。その進行日程はまだ未定だが、アメリカのCSISで教育を受けた日本のエリート官僚とアメリカのトランプのブレイン達との間で、もちろん水面下で、アウトラインは既に決定済みだと考える方が自然だろう。だから時間はない。


桜を見る会疑惑で、安倍晋三内閣はすでにレームダックと化している。NHKの姿勢も急転換し、これはおそらく、「FTA第1段階も問題なく衆院で採決されそうなので、問題の多すぎる安倍晋三を切っても構わない」とジャパンハンドラーが判断したのだろう。


解散、総選挙は近いと考えるべきだ。そんな今日、唖然とするようなニュースが報じられた。少し長いが重要な事が記されているので引用する。


日米貿易協定の承認案は与野党の議論が深まらないまま衆院を通過した。立憲民主党などは資料提出に非協力的な政府に一時反発したが、ここにきて「桜を見る会」に絡む安倍晋三首相の追及を優先し、審議に応じる構えをみせる。一方、重要法案が政治的駆け引きに使われたことに、れいわ新選組は激怒しており、今後の野党共闘に影を落とす可能性もある。

「貿易協定を参院に送らないと首相が答弁に立つ機会がなくなる。分かってほしい」

 立民の安住淳国対委員長は19日の代議士会でこう述べ、承認案の衆院通過容認は、首相の疑惑を参院本会議で追及するための苦肉の策だと訴えた。

 立民は桜を見る会の追及を後半国会最大の焦点に掲げる。しかし、与党が首相出席の予算委員会の開催に応じないため、参院本会議で追及する方針を決めた。 

 立民のこうした姿勢に猛反発しているのがれいわの山本太郎代表だ。16日に福島県で開いた街頭記者会見では、協定で日本が不利になりかねないと指摘した上で、「野党議員が集結して体を張って国会を止めないとだめだ」と強調。14日に山形県で開いた集会では他の野党勢力を「とんだ売国野郎」とまで罵倒した。》(産経新聞1119日付)


「貿易協定を参院に送らないと首相が答弁に立つ機会がなくなる」とは本末転倒ではないか。


今日は日本の第二の敗戦記念日だ。FTA第一段階は政権交代しても覆えせない。日本の未来が大打撃を受けた。太郎さんではないが「とんだ売国野郎」か大馬鹿者のどちらかである。


野党共闘はやはり無理なのかもしれない。枝野幸男をトップに担いで野党連合で選挙を戦い政権交代を目指しても、そもそも「日米FTAを押し返すのだ」と言うコンセンサスがなければ、ある意味安倍晋三内閣以上に悪影響をこの国を及ぼしかねない。


枝野は対米従属左翼で、CSISに挨拶に行ったことを立憲民主党のサイトに誇らしげに掲載するくらいで、日米FTA推進派だろう。そもそも、安倍晋三が散々無茶苦茶にした日本の倫理や経済を立て直すのが次の首相の役割なわけで、枝野はそんな貧乏くじは引きたくないと思っているかもしれない。


山本太郎とれいわ 新選組は、100人擁立すればいいのだ。カネは僕らが寄付する。日本共産党、それから立憲民主や国民民主の中で造反した人たちとだけ連携し精一杯戦えば良い。僕らも全力でそれをサポートする。


ただし、残念ながら、現実的に考えれば勝つことはできないだろう。しかし未来への可能性を含んだ美しい敗北を得ることができる。「とんだ売国野郎」に泥水を飲まされるよりずっといい。


今、僕が考える総理大臣ベスト3を記しておく。


山本太郎

石破茂

枝野幸男


最終的にこの国を救えるのは山本太郎以外にないと僕は思っている。しかし次の衆院選で政権交代を果たすのは、やはり無理だろう。であれば、自民党の中で、来年のアメリカの大統領選挙までの1年間、日米FTAに歯止めをかけてくれそうな本当の愛国者を選ぶしかない。


石破茂以外にいないではないか。


石破茂は経世会の流れを引いているのだろうと思うが、経世会には対米自立を標榜する政治家が多かった。田中角栄の田中派から100人以上が参加し、小沢一郎もここにいた。橋本龍太郎、野中広務と青木幹雄もここだ。


しかし、20014月、自民党総裁選挙で小泉純一郎に大敗した。小泉は福田赳夫を中心として1962年に結成された清和会の政治家で、グローバリストで、言い方は悪いが、対米従属である。だから郵政民営化をやった。この流れが安倍晋三まで連綿と続いているわけだ。


メディアは、何かのスイッチが入り、安倍政権批判を始めた。安倍晋三内閣は既にレームダックと化している。安部退陣の時期は、意外と早いのではないだろうか。そんな折、ここ数日のニュースを見ると石破茂の名前が頻繁に出てくるようになった。それを見て僕も「そうか、その手があったな」と気がついたわけだ。


石破茂はタカ派で知られている。自衛隊を憲法に明記したいと思っているのだろうし、リスクがないわけではない。しかし、安倍晋三と違って、少なくとも空っぽの「器」ではないし、愛国者だけに国民を外資に売り払うような日米FTAには抗ってくれるのではないだろうか? 


前回の自民党総裁選においても、地方票では安倍に勝ったのだ。ポスト安部が、同じ清和会から出てくるようだとお先真っ暗だが、石破茂であれば、もしかすると日米FTAの流れに抗うことができるかも知れない。


石破茂首相に日米FTAに抵抗してもらい──その間、立憲民主も国民民主も衆院選に大敗してボロボロの状況になっているだろう。


一方、我がれいわ新選組は、100人擁立して、20人は当選しているとしよう。愛国者・石破茂が必死でFTAを止めてくれている間に力をつけ、その次の選挙で共産党など本物の野党と連携して政権交代、山本太郎首相が誕生し、アメリカの多国籍金融資本と正面から戦えば良い。


それ以外に──日米FTA第2段階を阻止する方法を、僕は思い浮かべることが出来ないのだが。