『「私」物語化計画』では継続して会員を募集しています。 | イージー・ゴーイング 山川健一

『「私」物語化計画』では継続して会員を募集しています。

僕は『「私」物語化計画』というオンラインサロンを主宰しています。作家志望の方々、「私」の構造を明らかにし自分を探したいと願う方々のための、Facebook上のサロンです。


毎週金曜日に講義テキストを館員専用のサイトで配信していますが、今回の原稿を特別公開します。皆さんの参加お待ちしています。




雨の日にコーヒーを飲みながら

山川健一


 連休中なので、今週は講義はお休みにして、今後のロードマップについてエッセイ風に書きたいと思う。

 小池都知事は4連休について「外出はできるだけ控えろ」と言っているので、僕も渋谷の仕事場でコーヒーを飲んだり、ゲームをやったり、宮下恵茉さんの『たまごの魔法屋トワ』(文響社)を読んだりしている。これはシリーズの2話で、1話がとても面白かったので、展開が楽しみだ。しかし、これはもちろん褒め言葉なのだが、宮下恵茉さんってまだ子供なんだなと思う。そうでないとこれは書けないだろう。


【推薦作について】

 推薦作のページに実践コースの伊藤洋介さんの『礼華さんが告白してくれない』を掲載し、何人かの方にコメントもいただいた。ありがとうございます。やはり、物語化計画のサイトに小説がアップされると盛り上がる。何よりも、伊藤さん、有り難うございました。

 ちなみに本作はCOVID-19以降の世界を描く企画ではなく、通常の推薦作だ。

《新しいスタンダード》シリーズとしては、今後、伊藤幸子さんの『遠い森の声』、菊地ひなたさんの『銀河模様の磨り硝子』を掲載する予定だ。

 物語化計画ロック班(?)から原稿が届かず、それが少し残念だ。松慎一郎、栗山ラムネの2人は必ず短編を送ること。OK

 10作くらい集まらないと電子書籍化は無理なので。


【キャラクター・メイキング】

 来週から、キャラクター・メイキングについて講義します。書店に並んでいる「小説の書き方」みたいな本ではキャラクター・メイキングは主流だろうと思う。しかし、物語化計画では、これまでキャラクター・メイキングについてはほとんど触れていない。

 いわば禁断の領域だった。

 もちろんこれには明確な理由がある。

 どんなカテゴリーの小説も、コアにあるのは「私」でなければならないと僕は考えている。そうでなければ面白くないし、そもそも小説を書く意味なんてない。

 それが僕の文学観というか、世界観だ。

 反対に言えば、コアで「私」が呼吸していさえすれば、どんなカテゴリーの小説でもいいし、かなりアバンギャルドなものでもいいし、もっと言えば小説でなくたって良いと僕は考えている。

 楽屋話になりそうだが、僕は毎週そういうふうに思いながらこの講義テキストを書いている。会員の皆さんに約束した《新しいスタンダード》シリーズのための小説は必ず書くつもりだし、それ以外の小説も書くつもりだが、僕にとってこの講義テキストを書くことと小説を書くことにたいした差異はないのだ。

 こうした僕の哲学をベースに『「私」物語化計画』は生まれた。


 これまで講義は、実はこんな順番で展開してきた。もちろんネット配信なので時事的な事柄にも触れて本道から外れることも多かったが、概ねこんな順番で展開してきたはずだ。


.何よりも大切なのは「私」を理解すること。


.そのためには実は論理的な「私」の構造を分析することが大切だ。そうでないと迷子になってしまう。


.「私」の構造を分析するとは、とりもなおさず自分を物語化しなければならないということだ。


.物語の構造分析はナラトロジーの研究でかなり分析が進んでおり、これを学ぶことが近道だ。つまり物語論を「私」の構造分析に応用する。


.その上で日本語で小説を書くためには、日本語について深く学びその歴史的な美学と技術を習得しなければならない。


.そもそも言語とは何か? 「私」も「世界」も「愛」も「快楽」も言語によって成立している。

   

 物語化計画のこれまでの講義はこうした意図に沿って行われて来たはずで、これは「キャラクターを作れば小説は書ける」という考え方とはかなり違う。

 いかに書くか(HOW)より、何を書くか(WHAT)が、もっと言うならなぜ書くのか(WHY)について考える方が遥かに大切で有効だということだ。


 8年間大学で小説の書き方をレクチャーしてきた経験から、多くの人たちが「キャラを作れば小説を書ける」と勘違いしているなと僕は感じてきた。

 若い人たちは二次創作小説をよく書くが、これもキャラが決まっていれば小説は書けるという安易な発想の延長なのだろうと思う。

 そうではない。

 いわゆる「エッジの立ったキャラ」を、あなたはあなた自身の内側に発見しなければならないのだ。

 というようなわけで、これまではキャラクター・メイキングの項目は、可能な限り禁じ手にしてきた。野球で言うと、質の高いストレートが投げられるようになってから、変化球を覚えるべきだということだ。

 そして皆さんは、先週の講義で「自伝」というか、自分史について考えるに至った。

 ちゃんとストレートが投げられるようになって来た。

 自伝、自分史も時間を取れば書けるはずだ。

 そんな今、いよいよキャラクター・メイキングが解禁されます。

 物語化計画は、「ストレッチ」「物語の構造」を経て、いよいよ第3部「キャラクター・メイキング」に入る。ま、コーヒーでも飲みながらキャラクターを作っている段階でまだ実際の原稿には取り掛かっていない──作家にとっては最も幸福な時間だ。

 楽しみにしていて下さい。


【友人や知人を誘って下さい──というお願い】

 物語化計画は来週から新しいフェーズに入ります。

 これまでは月に1度のスクーリングをやり、会員以外の方にも集まっていただき、興味を持ってくださった皆さんに参加していただく、というスタイルでやってきました。しかしCOVID-19の影響でスクーリングが開けず、会員以外の皆さんに会う機会がなくなってしまいました。ビジネス的に言うと、プロモーションの機会が失われているわけです。

 そこでお願いがあります。

『「私」物語化計画』は、会員の皆様はご承知の通り普通の小説教室ではなく、「自分探しの旅」を含んだ精神的な世界を可能な限り論理的に解明していくことを目的にしています。

 結果的にそれがプロの作家になる最短コースだと僕は思っていますが、これを説明するのがなかなか難しい。

 すでに会員となり、Facebookの使い方やツリー構造も習得している皆さんが、皆さん自身の言葉で親しい友人や知人を誘って下さるのがいちばん有効なのではないかと思います。

 というわけで、ローリング・ストーンズの「ウェストコーストの宣伝屋」ではありませんが、新規会員の拡大にぜひともご協力ください。伏して、お願いいたします。入会してくれそうな方がいらっしゃいましたら、事務局の小宮が対応しますので、事務局宛にメールでお知らせください。

事務局 etcetera@etcetc.jp




【お知らせ】

会員の森くま堂こと佐藤亮子さんの絵本『おむすびころりん はっけよい! 』が刊行されました。

 おめでとうございます!

 Amazonの内容紹介等をコピペしていきます。お子さんがいらっしゃる方、是非ともお読みください。


おむすびころりん はっけよい!

森くま堂

https://www.amazon.co.jp/dp/4032326304/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_vUvgFbMFJF97R @amazonJPより


Amazon の内容紹介

あるところに 

さんかくおむすびの くにと 

まんまるおむすびの くにが ありました。 

ふたつの くには 

いがみあっていたのです


いさかいはひろがり、 

とうとう、とのさまどうしの相撲で、決着をつけることになります。 

そして、手に汗にぎる一戦は、思わぬ結末に


登場おむすびは、400こ以上。 

おむすび好きには、たまらない絵本です。


出版社からのコメント

おむすび、おいしいですよね。 

この絵本には、うめぼし、おかか、たらこなどの基本的なものから、天むすや、たきこみごはんでできたのまで、いろんなおむすびが登場します。 

お気に入りのおむすびを、ぜひ見つけてみてください


著者について

森くま堂 

1956年、鳥取県米子市にうまれる。同志社女子大学英文学科卒業。 

児童文学者協会、児童文芸家協会会員、季節風同人。神戸新聞文芸児童文学部門 年間賞 『おやすみくまちゃん』、創作コンクールつばさ賞 〈読み物部門〉優秀賞 『古い地図のむこうから』、絵本テキスト大賞 『ちこくのりゆう』など。本作が初の絵本作品となる。兵庫県在住。


Facebookの仕様上、書影は1つの記事に1つしか貼れません。宮下恵茉さんの『たまごの魔法屋トワ』(文響社)は、こちらのリンクから


宮下恵茉『たまごの魔法屋トワ』(文響社)

https://amzn.to/3jAvUkw


『「私」物語化計画』のサイトはこちらです。

 https://yamakawa.etcetc.jp/